「旧奈良監獄、重文に」

 

明治時代に建築された現存する国内最古の刑務所「旧奈良監獄」が重要文化財に指定される。この建物は、ジャズピアニスト山下洋輔氏の祖父で建築家の故山下啓次郎氏が設計し、明治41年に完成。赤れんが壁の外観で、受刑者が入る5棟の「舎房」が放射線状に並ぶ統一された建築群は意匠的に優れ、歴史的価値も高いと判断された。

 今は「奈良少年刑務所」として使われているが、老朽化に伴いこの3月末で閉鎖されることになった。法務省は、保存を求める声を受け、今後土地と建物は国が保有したうえで、改修と運営に民間の資本を活かすPFI方式での再生をめざしている。この5月にも業者を選定するが「監獄ホテル」としての再出発が今のところ有力視されているが、果たしてどうなるか?

 ただ、重文は現状の保存が原則で、改修には文化庁の許可が必要。さらに少なくとも舎房1棟は完全に残すという制約もある中、歴史的建物の保存と観光資源としての活用との両立が鍵になる。